タト部記憶

チラシの裏

2017夏・飯田線旅行①一日目・飯田

日帰り旅行くらいの感覚で家を出た。これくらいの距離で一泊となると変に気負うところが無くて良い。

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見慣れたJR東海車。18きっぷシーズンだからかまあまあ人が乗っていた。

飯田線の特徴と言えば,こんなに本数少なくて人の居ないところを通る路線にもかかわらず全線電化されていることだと思う。

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こんな感じで車窓を撮影すると架線が映りこむ。

というのも,飯田線はもともと別々に電化路線を整備した私鉄が大合併して出来た路線らしい。そのせいで都会の私鉄かよってくらい駅数が多く駅間距離が短い。ちょっと人が住んでるくらいの田舎をちょっと加速してはすぐ駅に着く。この感覚もまあまあ面白かった。

飯田市では本数の少なさに怯えつついろいろ歩いて見て回った。

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こんな感じで街並みに突然立派な蔵が出現する。

そもそも飯田市は諏訪盆地から南アルプス中央アルプスの間を縫って東海に抜ける天竜川に沿って発達した三州街道*1の宿場として発達したらしく,中世には城が置かれた城下町でもあったらしい。飯田駅南に広がる碁盤の目状の町並みはその名残かな。

また南信州一帯最大の都市でもあるようで,件の町には美術館・映画館と言った文化施設から動物園やプラネタリウムまで揃っている。この感覚すごくないですか。

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「火の用心」なんてわざわざ書いてる機関車が展示されている。どうやら飯田の城下町は一度大火に見舞われているらしく,その延焼対策として,城下町を貫く二本の幅の広い道*2と建物の間に通っている「裏界線」と呼ばれる路地が設けられている。歴史と知恵が盛り込まれた町並みとわかると一層面白い。

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咲-saki-』のあのED「残酷な願いの中で」の聖地。見晴らしが良い。っていうかまんまやんけ。

和菓子でも有名な街のようで(山の中の町だとありがちよね),栗饅頭を食べながら歩いた気がするが写真が無い。

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地方都市のNTTの電波塔とか地方銀行とか,好きなんですよ。謎噴水とか。

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日本初のラウンドアバウトであるところの東和町交差点。クイズでしか知らなかったから,実際に見ると結構感動。通る車みんな戸惑わずに走ってて,みんなこの交差点の曲がり方知ってて走ってるのだなあと。

あとこんな感じで

謎のからくり時計台があってびっくりした。どうやら人形劇で有名なのに加えて繊維工業から精密機械工業が発達したところだったらしく,そのつながりであるっぽい。

中央自動車道中山道中央本線といった東海地方へのメインストリートである木曽路ではなくわざわざこの飯田まで伊那路を通ってきているのも,精密機械のおかげなんかね。

こんな感じで市街行ったり来たりでレンタサイクルを借りたほうがよかったかなとも思ったが,切石駅から再び乗車することと,意外にアップダウンがあることがわかったのでやめといた。

というのも,下図の通り飯田の市街地は天竜川とその支流の松川による河岸段丘の上に位置しているのだ。これは「残酷な願いの中で」のあそこ(ちょうど崖線上から川の方を見ていたわけね)に来てみてようやく気付いた。

そんなわけで延々と歩いて(バスとか使えばいいのに)えげつない坂を降り,また向こう側の段丘面に上がってこの地方特産の幻豚が食べられると噂のレストランに行ってみた。

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ステーキとかは高くて食べる気起きなかったので生姜焼き定食に。生姜焼きの味を変えられる辛タレも,サラダ付け合わせのゆずドレッシングも美味しくて大満足。赤味噌の味噌汁が旨くておかわりしてしまった。

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再度切石駅まで戻ってきて喜久水酒造に。町並みが長閑。仕込み期間じゃなかったから見学等々は無かったけど,仕込みビデオを見せていただいた。と,道中飲める日本酒を買っておいた。

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普通に300mLラッパ飲みできる量ではなかった…

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天竜峡駅以南はこんな感じで天竜川が目前に迫るものすごいところを走る(天気が悪い…)。

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田本駅や中井侍駅,小和田駅といった南アルプスの山っペりにへばりついて目の前天竜川!みたいなロケーションの秘境駅が結構面白かった。ちなみにこの辺りは長野県天龍村静岡県浜松市天竜区(まさかの政令指定都市!),愛知県豊根村の三県境になっていて面白い。

雨が止んだ合間に中央アルプス南アルプスの切り立った山並みの間から眩しい夕陽が差してきて,雄大天竜川の川面を鮮やかに染めていたのがあまりにも美しかった。これだけでも飯田線に乗る価値があると思う。

切り立った地形にしては水の流れが速く見えないと思いきやどうやら下流にダムがあるらしく*3,若干悲しい。

豊橋に降りて駅前ちょっとぶらついて(まあまあ街),名物らしいカレーうどんを食べた。

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 普通に夜中になったら人通り少なくなって(月曜の夜だから務め人がさっさと帰って繁華街も疎ら),ネカフェ行くのが怖くなったから静岡まで逃げた。

駅前のネカフェが安いうえにシャワー無料で神だった。

*1:伊那路とも。愛知から信州に塩を運ぶ重要な物流ラインだったようだ

*2:「リンゴ並木」と名付けられている。歩車一体になっててどこを歩けばいいのか判然としない

*3:近代日本土木史に名高い佐久間ダム。大嵐駅~佐久間駅間の不自然なトンネルブチ抜きは本来の路線がダムで沈んでしまったかららしい