Filmarksに軽くメモするつもりだったけどなんだか短くまとまらなそうなので全文をこちらに。読みやすい推敲はしていない。
激しくネタバレ。
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190114@イオンシネマ。同名タイトルのTVアニメ2クール分の後に位置するファンムービー。TVシリーズ視聴から一年ほど時間が空いて記憶が怪しかったが,同シリーズの前作『ラブライブ!』の劇場版もファンムービーとしてかなり満足したので,期待を込めての鑑賞。
ずばり,前作劇場版がµ'sの物語を「締めくくる」ためのものだとすれば,今作はAqoursという物語を「前に進める」ためのものだ。
ラブライブで優勝するも現実は厳しく,主人公らの活動の目標だった学校は廃校,新学期からは他校に通うことになる,そんな春休みから物語は始まる。一人一人がかけがえのないメンバーから3年組が卒業し,6人になってもAqoursとしての活動を続けることを選択した彼女たちは,目指すべき目標も頼れる仲間も失って迷いと不安の只中。まあありそうな展開だ*1。
大筋はやはり,3年組が抜けた「これからの」Aqoursの在り方を,イタリア旅行中の3年組に会いに行ったり,ライバルユニット(?)であるSaint Snow*2と触れ合ったりする中で模索し,自分たちなりの答えを見つけるという話だ。
と言いつつ,終盤のSaint Snowとの二組だけの決勝戦まで,何故か大筋はほぼ無視してぬる~っと話が進む。卒業旅行で東京に来ていたSaint Snowを沼津まで呼びつけてお説教喰らったり,必要かどうかわからん海外篇というお約束展開があったり,不自然なくらいルビィが精神的に成長したり,過程は粗いと言えばまあ粗い。そこはまあ,二期で確立したギャグっぽさ,ファンタジーらしさだと思えば微笑ましく感じられた。
前作劇場版と同じくミュージカル感あるライブシーンはまあまあ。曲が前作ほど刺さらなかったのでアレだったけど,沼津の景色*3を巡る冒頭のライブだとか,旧函館区公会堂*4をバックにしたSaint Snowのライブとか,その際のAqoursの3年組だけ色の違う衣装だとか,映像としてはかなり楽しめるとこがあった。
評価が分かれるとすれば大筋のまとめ方だろうか。
思い返してみれば,TVシリーズ最終話はかなり不完全燃焼だった記憶がある*5。というのも,
廃校を乗り越えて,3年組の卒業を乗り越えて,それでも解散せずに前へ進もうとみんなで決めた中でまだ迷いがある主人公-->始まりの場所だった海岸から紙飛行機を飛ばし,話の軸としての場だった浦の星まで飛んでいく-->何故か開いていた門から入ったと思いきや今までの活動を懐古する心象風景-->今までの輝きを胸にこれからも……
という何ともファンタジーすぎる……というか前に進もうという姿勢が真実味をもって感じられない最終回だったからだ。TVシリーズ2クール目に貫通して現れるキーアイテムである紙飛行機も羽ばたいていく鳥のメタファーにしては思い出をなぞるだけに終始してしまうし,正直よくわからないと放送時に感じたのを覚えている。
本作は,そんな結末への明確な補完になっている。
終盤,独りになってもなお前に進もうとするSaint Snowを見て自分たちも前に進もうと奮起したAqoursは,3年組も交え再び9人で浦の星を見に行く。するとTVシリーズ最終話と同じく門が少し開いている。ここで,過去を振り返るTVシリーズと異なり,主人公は門を閉めてしまう。目的が変わり,メンバーが変わったとしても,浦の星と共に積み上げてきた過去は無かったことにはならないし,その積み重ねの上に今のAqoursがあるからだ。これがこれからのAqoursの在り方ということだろう。
そこにはもう迷いも不安も無い。ただ踏みしめてきた道を信じて前に進むのだ。こんなに明快な答えがあるだろうか。月並みではあるけど,これは解散という〆方を選んだ前作では辿り着かなかった結論だと思う。
TVシリーズから本作まで一貫して出てくる紙飛行機の正体は,2クール目初回(で合ってますかね?)で登場する,予選敗退の結果通知であることが明かされる。2クール目通して描かれる挫折からの奮起も,思えばゼロからの――いや,積み重ねを信じてのスタートだった。新生Aqoursの物語のスタートはきっと今なのだろうと感じさせるラストだった。
とか言いつつ,最後の最後の聖地が云々みたいな会話からの砂に書かれたAqoursがよくわからなかったんだけど,アレなんなんすかね……誰か解釈あったら教えてほしい
あと渡辺月(CV.黒沢ともよ)もやたら便利なキャラ以上の意味合いが見いだせなかった。あの話から明らかに浮いてる。