タト部記憶

チラシの裏

2019今年の十話

「記憶に残った」アニメの記録と,「爪痕を残した」アニメの供養を兼ねて今年の10話を選出したいと思う。

今年は特に2クールものに名作が多く,1アニメ1本という候補選出の段階から困難を極めた。一方で,依然として全体の本数が減らないどころか初めて元請けを見るような会社,初めて名前を見る脚本家なども多く,逆に記憶に残ってしまうような作品もやはりそこそこ見受けられた。どんなアニメであっても,最後まで見ないと良さも悪さもわからない。そんな認識を新たにした一年の締めくくりとしたいと思う。

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記憶に残った十話

  • かぐや様は告らせたい #12[終] 「花火の音は聞こえない 後編/かぐや様は避けたくない」:「花火の音は――聞こえない。」このシーンだけが強烈に記憶に残っている。ありがちな筋かもしれないけど,めちゃくちゃ良い演出だったんですよ…。
  • ギヴン #9 「冬のはなし」:今年一番良いライブシーンだったかもしれない。過去に暗い痛みを抱え,常に無気力そうに振る舞ってきた真冬が絞り出すように歌う。上ノ山くんとの関係性も進み,男ながら😆となってしまった。
  • 八月のシンデレラナイン #10 「背中に翼」:美少女ソシャゲの枠に収まらない,しっかり熱い青春部活モノのツボを押さえた良シナリオが光っていた本作。人数も増え,部として,チームとしていよいよ試合をするというところで,当然ながら出てくるスタメンの問題。立ち上げメンバーながら「ナイン」から外れてしまう宇喜多茜に対する,有原翼の行動。これが主人公だなとなるし,
  • 変態でも可愛ければ好きになってくれますか? #12[終] 「可愛ければ××でも〇〇になってくれますか?」:ミステリアニメとしての鮮やかな伏線回収。からの妹が秘めていた心情吐露。そしてEDの演出。こんな見た目クソラノベアニメなのに感動させられるとは思わなかった。ぜひこのアニメは最後まで見てほしい。
  • Re:ステージ! ドリームデイズ #12[終] 「これが、私たちの」:それぞれが各々の過去を回想しながら作画ライブを繰り広げる最終回。今までの積み重ねが効きまくる。メインテーマだった,夢破れた少女たちの再起。憧れるだけだった姉と対等に渡り合うようになった主人公の成長に,端的に12話分の変化が現れていた。
  • まちカドまぞく #12[終]  「伝えたい想い!! まぞく新たなる一歩!!」:12話かけて育まれた関係性,シャミ子の覚悟が込められたプロポーズ申し出。シャミ子の父がナレーションだとわかるのもこの上なく粋。
  • ラディアン2 #5 「雨音静かに心は遠く」:あまりにも驚くべきメリの豹変。どこまでも冷たい接し方は,信じていたセトから受けた裏切りの意趣返し。冷たい雨が降り注ぐ中,玄関越しでの取り付く島もない会話は,絶望的に離れてしまった二人の心の距離を非常に上手く表現していた。
  • Dr. STONE #17 「百の夜と千の空」:原始時代に後退した世界で科学オタクが文明の再興を目指し、一から科学を積み上げていくというストーリーの本作にあって、唯一時間を巻き戻して語られる回だった。詳しいストーリーの言及は避けるが、先人が積み上げ受け継いできた叡知は、絶対に時間を超えて、距離を超えて受け継がれ絶えることのないものなのだ、という強いメッセージを持った回だった。自分に出来る精一杯を尽くし、後の世代を、未来を信じて託すという科学者の在り方。凡百の異世界アニメが軽視・無視してきた科学文明の積み重ねの体系としての側面。科学を愛する者なら誰しも思わず感極まってしまう珠玉の回だと思う。
  • ヴィンランド・サガ #18「ゆりかごの外」:戦士とは何か。愛とは何か。上に立つ者とは何か。それすらも見下ろす神とは何なのか。トルフィン,ビョルン,クヌート,神父,それぞれの視点から見えた答えがアシェラッド一味の崩壊とともに鮮烈に描き出される。主要キャラの覚醒がここまで完成度高く描かれる「神」回もなかなかない。
  • この音とまれ! #25 「天泣」:正直2クール目後半は全ての回が記憶に残る名作なのだが,その中でもやはりこれを推したい。2クール通してさとわたちが乗り越えてきた過去の痛みや人間関係が演奏にさらなる深みを与えているというのが,聞いているだけでわかる。自然と感動してしまう一話。

 

「爪痕を残した」十話

  • メルヘン・メドヘン #12 「ハッピーエンドの魔法」:Nクール空けてこれかよとなる。結局話も意味不明なまま(終わらせ方に苦慮しているような感じすら受けた)典型的なダメオリジナルアニメという感じで最悪。
  • 3D彼女 リアルガール #24 「オレとあいつの未来の件について。」:思いが通じ合った後のレディコミみたいな唐突な病気展開からのつっつん東大合格からの再会。さすがに笑った。
  • 群青のマグメル #5 「田伝おやじとマグメル」:脚本が徹頭徹尾破綻していた本作の象徴的な一話。
  • ブラッククローバー #93 「ユリウス・ノヴァクロノ」:魔法帝の死という衝撃的な回。このアニメ人死ぬことあるんだ,という驚きと,魔法帝のグリモワールの想像を超えたデカさと,何も想像を超えてこない展開のダメさで笑ってしまう。2年目の締めくくりと言ってもいいくらいの回。
  • うちの娘の為ならば、俺はもしかしたら魔王も倒せるかもしれない。 #4 「ちいさな娘、その『事件』。」:全編通して暖かな本作だからこそ,画竜点睛を欠くという言葉がふさわしい一話。
  • どろろ #19 「天邪鬼の巻」:どうした?って感じのラブコメ回。ゾンビランドサガの二人とだけあって,こういうのもありなのか,と強い印象を遺してくれた。
  • フリージ #19 「革命」:本作を象徴するかのような異常回。他人の書庫金庫を全く正当性なく爆破して革命とか宣ってしまうドバイババア的価値観で大いに笑ってしまった。
  • 異世界チート魔術師 #4 「真紅の契約」:非常に出来が悪かった本作にあって,ひときわ話も映像もひどかった。センスが無さすぎる。あまりに酷すぎて強く印象に残っている。
  • 戦姫絶唱シンフォギアXV #9 「I am a father」:爺さん大暴れ。今までの設定ブチ壊しでも最後に一華咲かせてくれた。
  • グランベルム #13[終] 「世界で唯一のふたりのために」:悪ふざけもここまで来ると笑えた。

 

選外(順不同)

記憶に残った候補

  • 風が強く吹いている #22:練習してきたのはチームでも,走っている最中は孤独。駅伝競技と心情描写を巧みに組み合わせていて,ああこんなにスポーツアニメって面白いんだっけ。と思わせてくれた
  • バビロン #7「最悪」:言わずもがな。ここ数年のアニメでは味わえなかった感覚に飲み込まれたので,ぜひ見てほしい。
  • ヴィンランド・サガ #24[終] 「END OF THE PROLOGUE」:凄まじい演出。父の仇が全てだったトルフィンの少年時代があっけなく幕引きとなる。戦記物の良さが最大限出ていた。
  • ぼくたちは勉強ができない!(1クール目) #9 「禁断の地にて彼は、[X]が為奮闘する」:着ぐるみ大天才回。僕はこういうアニメで育ってきたのでとても懐かしく嬉しい気持ちで見ていた。この後の回で選んだ下着で伏線回収してくるのもこの上なく天才。
  • 女子高生の無駄づかい #11 「ゆめ」:終始ギャグの本作にあって,こんな切ないエピもやれるんだ,という驚くべき良さがあった。
  • コップクラフト #7 「GIRLS ON ICE」:ネコと入れ替わるスケベ回の9話も捨てがたいがこっち。
  • フルーツバスケット 1st season #24 「帰りましょう」:醜い姿でも,過去でも,何であってもありのままの他者を全身で受け入れてくれる本田透の全てが詰まった回。
  • からくりサーカス #28 「ぶたちゃんはあるいていった」:コロンビーヌ(CV.悠木碧)の熱演。この辺りから本作は主要キャラがどんどん死にながらバトンを託すというおもしろ展開になっていた。
  • 八十亀ちゃんかんさつにっき #8 「アキバじゃにゃあ」motto☆派手にね!
  • ジョジョの奇妙な冒険 黄金の風 #32 「グリーン・ディとオアシス その③」ジョジョ屈指の名シーンを見事に映像化していた。チョコラータの名演も素晴らしい。
  • マナリアフレンズ #2 「竜姫悶える」:美少女キャラのウロコを剥くというだけでスケベ。
  • 明治東亰恋伽 #6 「夢と情熱のエレキテル」:エレキテル。突然作風変わってどうした?となるが,可愛いSDキャラと奇抜な曲で強烈に印象に残っている。
  • 食戟のソーマ 神ノ皿 #11 「希望の唄」:足掛け5年6クールの物語の集大成としてのOP1は流石に感動する。正直お話はアレなのだが,全員おはだけしていくクソ雑映像も相まって総合演出の勝ち。
  • ハイスコアガールⅡ #24[終] 「ROUND24」:全員が痛みを抱えて,でも運命には逆らえなくて,それでも想いを吐き出す登場人物たちに,否応なく積み重ねの儚さを感じて感動してしまう。

 

爪痕を遺した候補

  • ブラッククローバー #82 「プチット・クローバー!悪夢のチャーミーSP!」:本当の悪夢。こんなアニメが許されてはいけない。
  • BEM #3 「SHADOW」:作品の世界観ブチ壊しのニンジャスレイヤー。せっかく雰囲気作って3話まで放送していたのに,底の浅さというか,こんなもんか。と思わせてしまう酷い回。
  • BAKUMATSUクライシス #2 「京都炎上!鬼火のナゾ」:炎上する本能寺が夜空に現れて京都の町に落下してくる映像が見られるのはBAKUMATSUだけ!!
  • 叛逆性ミリオンアーサー(第2シーズン) #17 「キャプテン団長」:作画スタッフがよくわからないから適当にサッカー描きました!という潔さが一周回って好き。昔を彷彿とさせるへにょ映像も相まって,JCスタッフ!となった
  • ぱすてるメモリーズ #2 「ご注文は?と言われても……」:お蔵入りやむなし。筋を通さない悪ふざけは面白くもないし当然のように罰が下るんだなあというある種業界の自浄作用を感じられた回だった。
  • ドメスティックな彼女 #12[終] 「ごめんね。愛してる」:淡い(???)恋の破綻とスピード文学賞受賞。スピード感と展開のトンチキさで無限に笑えて情感など欠片も無い,良い意味で酷い最終回だった。
  • アサシンズプライド #12[終] 「暗殺教師の矜持」:へにょへにょ作画の爆笑アクション映像。話も正直よくわからないし,メルヘン・メドヘンとグリムノーツって感じで今までの話から明らかに浮いていた。終わり悪ければ全て悪いの典型例だと思う。